営業を始めたばかりの時、私はなかなか営業成績を出せず、「自分は営業センスがないのかな?」とか「日々の営業活動が根本から間違っているのだろうか?」と悩む毎日でした。
でも、私に限らず、営業に携わる方であれば誰しも、営業成績に対するプレッシャーを常に感じているものですよね。思うように成果が上がらない期間が続くと、終わりのない深い不安に陥ることもあるでしょう。
しかし、40年近くにわたり経験した私の結論は、こうした迷走や業績のばらつきは、あなた個人の資質や努力不足が原因ではないということです。真の理由は、これまでの営業活動が「個人の勘やテクニック」という不安定な土台の上に作られているからです。
1. はじめに|このブログの対象読者
このブログは、営業に携わる方、つまり営業の初心者から営業マネージャーまで、幅広い読者を対象としています。
それぞれに悩みの対象は異なると思いますが、このブログの主旨である構造化は、営業担当者個人から組織運営に至る幅広い領域を対象にしています。
👨🏼💼営業の初心者
就職や人事異動により、これから営業を始める方、または営業経験が3年未満で日々の活動プロセスに不安を抱えている初心者
👩🏼💼中堅営業担当者
営業経験はある程度蓄積しているものの、成果が安定せず常にノルマに追われ続けている営業組織の中核メンバー
🧑🏼💼営業マネージャー
メンバーの経験やスキルがバラバラで、属人化から抜け出せずチーム全体の成績が安定しない営業組織の管理者
2. 法人ビジネスの特徴と営業活動への影響
当ブログは企業相手の法人ビジネス(又はB2B)を対象としています。個人向け営業も法人営業も本質は同じですが、法人営業にはそれ特有の複雑さがあります。
その複雑さのために、意思決定にかなりの時間を要します。私の経験でも、1年以上の期間を費やして、ようやく成約に辿り着くことも珍しくはありません。このため、営業担当者はときに現在の立ち位置を見失うことも少なくありません。
法人ビジネスの特徴
❶ 多層的な意思決定構造
- 企業規模が大きいほど社内外の複数のステークホルダーが関与する
- 意思決定のレイヤーが多層的であり、機関決定のための会議や承認プロセスが多く存在する
❷ 意思決定の長期化
- 多くの関係者が関与するため、意思決定プロセスは長期化しがち
- 根回し等の社内特有のプロセスに加え、経済合理性や厳格な社内ルールが重視される
❸ 営業活動の迷走
- 営業担当者は、顧客の意思決定プロセスにおける現時点の位置が見えなくなり、次にとるべき具体策を見出せず五里霧中に陥りやすくなる
現場経験から|意思決定プロセスの長さは海外も同じ?
多層的かつ長期にわたる意思決定プロセスは、日本特有なものと思っていました。
ところが、私の働いていた外資系会社の海外営業拠点の営業担当者に聞いてみると、「忘れた頃に突然、契約の話持ち上がる」とのことで、状況は同じなんだなあと驚きました。

3. 体系化・構造化による再現性の実現
このように、複雑かつ長期的な法人ビジネスではゴール(成約)の地点(時期)が見えににくいため、営業計画を立てることが難しくなります。その結果、以前の私もそうでしたが、営業活動が場当たり的になり、外部環境に左右されるということになります。
私が40年近い経験からわかったことは、営業プロセスは、幾つかの要素で構成されているということです。要素のわかりやすい例は、「ステージ(進捗)」です。つまり、営業プロセスは複数のステージで構成されているということです。
営業活動が場当たり的というのは、本来ならステージごとに適切に実施すべき営業活動がなされていない、ということなのです! この営業プロセスの「要素分解」が最初の重要なステップです。
次に、その各ステージ毎に適切な営業活動を規定します。しかも、それらを言語化または可視化することで、しっかりと当該活動が実施されているかを担当者個人が自己チェックするだけでなく、営業組織としてもモニターすることで、営業成績の安定が図られます。
‐ 私が考える営業プロセスの構造化 –
- 営業プロセスを複数の要素(例:ステージ=進捗)に分解する
- 各要素ごとに適切な営業活動(やるべきこと)を規定する
- やるべきことを言語化・可視化する
- 営業担当者および営業組織がそれらを定期的にモニターする
それぞれの項目における具体的な内容は、別の記事で順次、解説していきますが、全体の骨格はこの流れ、つまり営業プロセスを体系化・構造化すること(以下、「構造化」)を徹底することです。私は、これを継続することで、営業成績に一喜一憂することなく、自信をもって営業活動を進めることができたのです!
4. でも、「思考」が何よりも大切
なお、ここで強調したいのは、営業プロセスを構造化して「型」として整えること自体が最終的な目的ではないという点です。型そのものが機械的に成果を生むわけではありません。
重要なのは、その型(フレームワーク)の中で状況を捉え、仮説を立て、考え抜く「思考」が伴って初めて、型は本当の力を発揮するという点です。むしろ、「思考が」が”主”で、それを具現化する「構造化」が”従”なのです!
一定のフレームワークの下で思考の質を高めていくことにより、経験の長さやセンスの有無に左右されることなく、営業成績は持続的に伸ばすことができます。さらに、その”考える営業”が組織全体に浸透することで、再現性の高い営業チームの醸成につながると私は考えています。
現場経験から|サッカー日本代表の課題
本連載の核心となる部分ですが、「構造」と「思考」は強固な掛け算の関係にあると思っています。つまり、どちらか一方がゼロであれば、その掛け算の結果である営業成果も完全にゼロになってしまうということです。
この両者の相関性は、先のワールドカップで露になった日本サッカー代表チームにおける「組織」と「個の力」の関係に酷似していると思いませんか?日本代表は世界レベルの「組織的サッカー」を標榜して戦いに挑んだものの、敗戦後のコメントでは一様に「個の力が足りなかった」という課題が口にされていました。組織としての戦術(構造)がどれほど優れていても、局面を打開する個人の力が伴わなければ、世界の壁は崩せないという実態です。
これは営業の現場でも全く同じことが言えることを、私は身をもって経験しました。どれだけプロセスの構造化を進めて完璧なフレームワークを整えたとしても、それによって最前線の営業担当者が思考停止に陥ってしまえば、何の意味もありません。
フレームワークという強固な土台の上で、一人ひとりが顧客のために深く考え抜くことに尽きます。だからこそ、「構造」と「思考」の掛け算が不可欠なのです。
5. まとめ
私は約40年近く、法人営業の最前線に立ち続けてきましたが、その歩みの中で、私自身も含め、本当に多くの同僚や友人たちが営業という仕事に苦しみ、迷い、時には自信を失っていく姿を目の当たりにしてきました。
一方で、営業とは不思議な側面もあり、商品力や外部環境さえ良ければ、未経験者であっても偶然ノルマを達成できてしまうこともあります。いわば、一時的な結果論がまかり通ってしまう世界でもあるのです。
しかし、こうした「結果がすべて}のスタイルには、再現性のある「型」を持っていないという致命的な弱点が潜んでいます。だからこそ、長い年月をかけてようやく辿り着いた営業の本質を、仕組みとして組織に定着させる必要があると実感しています。
本記事の要約
- 法人ビジネスは、意思決定プロセスが複雑(多層的かつ長期)なため、営業担当者は迷走しがちになり、結果、場当たり的な営業活動になってしまう
- 営業プロセスを複数の要素に分解し、その要素ごとに適切な営業活動(やるべきこと)を規定し、言語化・可視化することが重要(営業の構造化)
- しかし、こうした構造化はあくまで「従」であり、「主」はその要素単位で考え抜く(思考する)こと
法人営業のプロとして、営業パーソンにとって、「考え抜くこと」が存在価値であり、それを具現化するためには構造化という「型」が重要なのか、そしてどのように実践すれば成果が安定し、環境に左右されない真の営業力が身につくのかを網羅的に解説していきます。




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