私はこれまで外資系運用会社で何度も転職を経験していますが、入社面接のたびに必ず投げかけられた質問があります。それが、これです。
「あなたの営業スタイルは、ハンターか、それともファーマーか?」

この質問は、単なる営業スタイルの診断だけでなく、どのように営業成果を作っていく人間なのかという、外資系らしい直球のメッセージだったのでしょう。
とはいえ、私は、ハンター(狩人)だろうがファーマー(農民)だろうが、営業成果の獲得という点では本質的な違いはないと思っています。確かにメタファー(比喩)として”収穫物”は異なっており、ハンターは動物、ファーマーは農作物。つまり、動く獲物か、静止した作物か、その違いを営業タイプに重ねているのでしょう。
しかし、繰り返すようですが、両者の違いは収穫物の違いだけであり、営業的視点からみれば、成果を生み出すプロセスの本質はどちらも変わりません。ここでは、営業として比較的好まれる「ハンター」の方の例を挙げてみたいと思います。

ある場所に行ったら獲物がいた。「ラッキーだ!」と思って追いかけた瞬間、同じ獲物を狙うライバルが何人も現れた。しかも彼らは、ずっと前からその獲物を狙っていたらしく、いろんな策を練っていた。つまり私は完全には出遅れていたのだ。
案の定、その獲物はライバルのひとりに奪われてしまった。彼はこの土地に獲物が現れそうだと早い段階で見抜き、獲物の性格や習性に関する情報を仕入れ、幾つの罠を仕掛けていた。そして、「その獲物を間違いなく捕獲できるだろう」と確信して、それに見合った武器を仲間に作らせていた。準備は、最初から万全だったのだ。
つまり、最終局面で動く物体を捕捉するという点ではハンターの比喩は確かに正しいですが、それに至るまでの過程は、ハンターもファーマーも本質的には同じことをしているのです。つまり、情報を整理し、考え抜き、戦略を立て、準備を積み重ねているのです。
ハンターというと、まるで野生の勘や鋭い嗅覚を誇る”本能型の営業”を連想しがちですが、現実の営業はそんな単純な世界ではありません。ハンターであり、ファーマーであれ、成果物の獲得に優れた人は、例外なく、自分なりの「型」をもっており、それを愚直に実践しているのではないでしょうか。
ちなみに、この「ハンターか?ファーマーか?」という質問に対して、私は、毎回「フィッシャーマン(漁師)です」と答えていました。


