【営業の思考】「掛け算思考」で捉える営業戦略の立体構造

営業の思考(コラム)

営業成果は、以下の3つの要素の掛け算で表現できます。
 ①仮説指数(=思考の質)
 ②遂行指数(=仮説遂ための組織)
 ③顧客数・訪問頻度(=営業の量)

この掛け算思考は、運用業界におけるアクティブ運用の成果の構成要素を参考にしたものです。


本記事では、営業を構成する3つの要素(ファクター)の掛け算思考で、営業戦略を「立体的」(3次元)に捉えるという話をしたいと思います


a. 組織が決定する2つの要素

この2つを幾何学的に表すと、以下のように広がり(“Breadth”)を意味する「四角形の面積」になります。

顧客カバレッジ×商品カバレッジ = 四角形(面積)

この四角形の面積が大きいほど、営業が狙えるビジネスの量(母集団)が大きくなります。ただし、現実には人的リソースなどの制約があるため、一定以上に面積を増やすことはできません。このような制約下で組織が取り得る方策は、大きく分けて2つあります。

一つは、顧客カバレッジを絞り込み、少数の主要顧客に対して幅広い商品を提供していく方法。

もう一つは、商品カバレッジをあえて減らし、より多くの顧客に対して少数の主力商品を一挙に提供していく方法です。

どちらの方策を採用するかは、業界の構造や、商品の競争環境、そして自社の強みなどによって決定されることになります。


b. 担当者が責任を負う3つめの要素

先の2つの要素が営業組織が決定するファクターだとすれば、3つめの要素は、営業担当者個人が主体的に取り組むべきファクターとなります。


最後のピースが「顧客コミットメント」という命題です。先の2つの掛け算が広がり(“Breadth”)を示すファクターであるとすれば、この顧客コミットメントは深さ(“Depth”)に関わるファクターといえます。

前者が“量”を表し、後者が“質”を表現している、とも言い換えられます。

c. 掛け算の結果である立体構造=営業戦略

これで3つの要素が出揃いました。言わずもがな、この3つの要素の掛け算の結果は3次元になります。つまり、営業戦略は面積ではなく、「立体構造(体積)」として考えるべきである、というのがこの記事の主旨です。


顧客カバレッジ×商品カバレッジ×顧客コミットメント =立方体(体積)

これらの軸の決定には当然ながら責任が伴います。顧客カバレッジ、商品カバレッジ、顧客コミットメントの3つの軸と、それに対応する組織および営業担当者との関係は以下の通りです。

組織」の領域
組織が戦略的な視点から設計

営業担当者」の領域
営業担当者が主体的に責任を持つ

組織領域である「顧客カバレッジ(横)」と「商品カバレッジ(縦)」は、組織がどこをターゲットとするかを決める構造(枠組み)です。

一方で、営業担当者の領域である「顧客コミットメント(高さ)」は、担当者自身がどれだけ深く顧客に踏み込むかを自ら決める構造と言えます。

このように、組織による「戦略設計」と、現場の「主体的な意思決定」が掛け算されることで初めて、営業戦略は実効性のある立体構造として機能するのです。



顧客カバレッジ × 商品カバレッジ × 顧客コミットメント = 営業の構造の全体像

営業戦略は3つの辺の掛け算、つまり「立体構造」として捉えることができます。
個別の施策を単に並べるだけでは戦略は成立せず、3つの軸や要素が連動して初めて機能するのです。掛け算である以上、どれか1つが弱ければ全体の体積も縮小してしまいます。

しかし逆を言えば、この体積を意識的・意図的にコントロールできれば、戦略は極めて意味のあるものとなります。

営業戦略は単なる目標ではなく、そこには何らかの制約や障害が必ずあります。その成約下で、どれくらいの規模のビジネスが狙えるのかを立体的に可視化するための設計図、それがこの立体モデルです。

体積を広げる(=ビジネスを拡大する)ためには、どの辺を伸ばすべきか、どこにリソースを再配分すべきかが、この視点を持つことで明確になります。

今回は、3つの要素の掛け算としてご紹介しましたが、これはあくまで一例にすぎません。重要なのは、どのような要素を選ぶにせよ、営業戦略を「掛け算思考」で捉え、構造的に設計すること。この記事が、皆様のこれからの戦略構想における、ささやかなヒントとなれば幸いです。