営業の本質とは何か?
「営業とは、モノを売ることではなく、顧客が抱える課題を解決すること」というのが、いまや常識になりました。だからこそ顧客のビジネスに対する深い理解や信頼構築、そして提案型・ソリューション力が重要だ、これも誰もが知っています。
問題解決型営業の出発点は、まず顧客を理解することに尽きます。言葉で表すのは簡単ですが、言うは易しです。顧客が大企業であればあるほど、一営業担当者が入手できる情報には限界があります。
それでも、できる限り深く理解しようとする姿勢だけは、持ち続けたいものです。なぜなら、この出発点の情報の質が悪ければ、顧客へ的を射た提案もできませんし、この顧客とのビジネスを的確に運営(ドライブ)することもできないからです。営業の成果を決定づけるのは、情報の「量」ではなく「質」です!限られた”高品質な情報”をもとに、どれだけ考え抜けるかが、営業の成果を分けます。
では、高品質な情報とは何か。これはなかなか説明が難しいテーマですが、まずは品質の低い情報から見てみましょう。次の例は、営業初心者にありがちなケースです。
【ケーススタディ】
顧客との初回面談時に、「どんな商品をお探しですか?」と尋ねたところ、顧客から、かなり具体的な商品要件をヒアリングすることができた。
そこで、次回訪問では、そのニーズにぴったりの自社商品のプレゼンテーションを実施した。
さて、プレゼンテーションの結果はいか・・・?

この営業担当者にしてみれば、商品に関する詳細なニーズ情報を得られたので「よしっ!うまく情報を取れたぞ!」と思ったのではないでしょうか。結果は、おそらく勝ち取れたかもしれませんし、負けたかもしれません。つまり、運任せだったのです。
何がいけなかったのでしょうかーーー。
顧客の口から明確で詳細なニーズが出てきたということは、その情報はすでに顕在化してしまっているということです。ということは、同業他社の多くが同じ情報を入手していると考えるべきでしょう。この時点で競争はすでに熾烈。自社商品が圧倒的に差別化されていない限り、勝敗は「神のみぞ知る」と私は思っています。
では、どのように高品質な情報を入手するのかについて、私が常に心掛けている方法を紹介させていただきますね。
❶ 事実だけでなく背景に踏む混んでヒアリングする
◎ 顧客に関する情報の「事実」や「事象」も重要ですが、その裏にある理由や要因、意思、経緯に関する情報がなければ、事実に関する情報は意味を持ちません。
◎ 「なぜ、このようなスペックが必要なのか?」、「なぜ、その会社の商品を選んだのか?」、「なぜ、その価格では社内決裁が通らないのか?」、つまり”なぜの深堀り”的な質問が大切です。
❷ 事前に仮説を立て、その仮説を検証・補完するための情報収集を行う
◎ 情報を効率的に引き出すためには、こちらが的確な質問を投げる必要があります。そのために、訪問前にラフでもいいので仮説を立てます。そして、その仮説を確かめるために足りない情報から優先してヒアリングしていきます。
◎この仮説構築という事前準備がないと、面談中に顧客が重要なヒントを出しても、それと気づかずスルーしてしまいがちです。
❸ 収集した情報の構造と相互の関係性を把握する
◎ 重要な情報は一度での面談で揃うことはほとんとありません。情報は必ず”構造”をもっていますので、一定の基準に沿って情報を分解してみます。そして、どの構成要素が顧客の判断や意思決定の鍵を握っているのかを見定めます。
◎ さらに、情報と情報の間の関連性・つながりを掴むことも不可欠です。そのためには、常に物事を俯瞰する視点が必要になります。
このようにして、情報の背景を掴み、分析し、仮説を立て、また情報を取りに行くーーー。このサイクルを何度も何度も繰り返すことで、ようやく高品質な情報にたどり着けます。つまり、誰もが知っている”潜在化した情報”や”陳腐化した情報”ではなく、まだ言語化されていないかもしれない潜在ニーズへ近づける可能性が高まるのです。
そして、この”高品質な情報”こそが、営業の提案の質を決定づける”源泉”になるのです。


