関係構築またはリレーションシップ・マネジメントーーー。
営業パーソンに求められる重要な役割やスキルのひとつに「顧客との関係構築」があります。
しかし、別記事でも述べたように、関係構築はあくまで営業目標を達成するための「手段」であって、「目的化」してはいけません。
1.本記事の目的と効果
営業の主たる役割のひとつに、顧客との「関係構築」がありますが、その背後には明確な目的がなければなりません。
本記事では、30年以上の法人営業の経験から、顧客との関係構築の目的を明確にすることで、関係構築の意図を最大限に発揮することの重要性を解説します。組織のパフォーマンスを最大化させる関係構築と情報収集のヒントとしてお役立てください。
2. 関係構築の本当の目的
なぜ顧客との関係構築が必要なのでしょうか?
まず、ここでは「一般的に」言われる顧客との関係構築の目的を挙げてみます。
目的 ❶
安定的な取引による利益の最大化
- 商品のスペック比較や価格競争に巻き込まれない関係性が構築できれば、取引は案件ごとの勝負ではなく、継続的な協働へと変質する
- その結果、短期的な値引き交渉に振り回されず、長期的かつ安定的な収益機会を確保できる
目的 ❷
解約の防止
- 自社商品に関する不満や懸念は、表面化した時点では既に解約予備軍となっていることが多い
- 関係構築が出来ていれば、兆候を早期に察知し、機関決定前に改善策を提示することが可能になり、解約を未然に防ぐことができる
目的 ❸
顧客ニーズの理解と的確なソリューションの提供
- 信頼構築があることで、顧客はまだ社内で固まっていない構想や正式には言えない懸念までを共有してくれるようになる
- こうした情報を得られれば、提案の精度が上がり、競合よりも早く、深く課題へのアプローチが可能になる
以上をまとめると、顧客との深い信頼(ロイヤルティ)を築くことで、長期的なビジネス拡大と、解約防止の効果、そしてアップセルやクロスセルの機会創出が期待できる、ということになります。
では、この3つに共通する最大の基盤は何でしょうか?
【重要】:関係構築の核心は「高品質な情報の取得」にあり
私は、関係構築の基礎は、「高品質な情報」つまり正確かつ詳細な情報だと考えています。
顧客が直面する課題や計画に関する質の高い情報を得られるからこそ、顧客に資する価値ある提案が可能になり、長期かつ安定的な関係が築かれていくのではないでしょうか。
「高品質な情報」の取得こそ、営業の原理原則です。
営業における「高品質な情報」とは何か?ーーーこちらの記事で詳しく解説しています。👇🏼
関連記事 ▶『質の低い情報はいらない!|「高品質」な情報の集め方』
逆に言えば、高品質な情報の伴わない「関係構築」は、実態を伴わない、単なるお題目に過ぎない、といえるでしょう。
3. 関係構築の基礎となる情報収集の方法
顧客に関する「高品質な情報」を集める方法は、直接、顧客から情報を得る手段として「垂直方向」と「水平方向」の2通りあります。これに加え、顧客から直接収集するわけではないでない、「斜め方向」という第三の方向があります。
(a) 垂直方向
- 垂直方向による情報収集とは、担当者から担当課長、担当部長、担当役員というように階層を上がりながら情報を得る方法です。
- そのためには、営業担当である自分自身だけでなく、自社側の課長や部長、役員も巻き込み、相手の階層に応じて関係を構築する必要があります。
(b) 水平方向
- 一方、水平方法とは、相手企業から情報を得る点は同じですが、当該取引に直接関わらないものの情報を持つ他の関係者や他部署にアクセスする「部署横断的」な方法です。対象は、同じ部署の別担当者や課長、企画部門の部長・役員など多岐にわたります。
- 自分が関与しないビジネスについては、意外と話がでやすいことも少なくありません。オフィシャルな場に限らず、ランチやディナーといった非公式な場を活用することで、より深い情報が得られる場合もあります。
(c) 斜め方向
- 垂直でも水平でもない「周辺方向」から情報を得る方法。同業他社やライバル企業、業界関係者など、取引当事者の外側にいる人々からの情報収集です。もちろん、守るべき一線を厳守することが大前提ですが、意外な有益情報が入手できることも多いのです。
- 私自身、外部とのネットワークを活用した情報取集の効果を何度も実感してきた一人として、この方法はぜひ取り入れていただきたいと思っています。
4. まとめ
顧客との関係構築は何のためにするのか?
営業パーソンにとっては当たり前のように思える「関係構築の目的」は、日常の営業活動においては、意外と意識の外に追いやられがちです。目的を深く掘り下げていくと、そこには「高品質な情報」という核心にたどり着きます。
高品質な情報は、本記事で紹介した方法を組み合わせて情報を取りに行きます。しかし、ただ闇雲に集めればいいわけではありません。情報収集も自己目的化してはいけなのです。別稿の中ででも触れたように、次の3点を強く意識して情報を取りに行くことが重要です。
- 単なる事実だけでなく、その背景まで踏み込んでヒアリングすること
- 事前に仮説を立て、その仮説を検証・補完するための情報収集を行うこと
- 収集した情報の構造と相互の関係性を把握すること
この3つを意識して得た情報こそが高品質な情報となります。この高品質な情報を駆使することで関係構築の質を高め、更なる高品質な情報の収集が可能になるというサイクルが営業成果の再現性を支える土台となります。
了
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