外資系運用会社で求められる英語スキルは?|職位や職種での違いを解説します

外資系アセマネの現場から

外資系運用会社で働きたいが、英語にはいま一つ自身がない。一体どれくらいの英語力が必要になるのだろうか?

これは、外資系会社への就職・転職を考えている人にとって、必ず気になるポイントですよね。まさに、私が外資系企業へ転職するときの最大の不安材料が英語力でした。

結論から言うと、答えは「一定レベルの英語力は必要」です。ただし、具体的に求められるレベルは、目指す職種によって異なります。

この記事でわかること

  • 本記事では、外資系会社で求められる英語スキルについて、外資系運用会社での実体験をもとに詳しく紹介します

  • 職位(部長以上とそれ以外)や職種(営業職、運用職、ミドル/バック部門)ごとに求められる具体的な英語スキルの目安を解説します

  • 外資系会社への入社・転職を検討している方にとって、あまり表に出てこない情報を中心にお伝えします

会社が米系であれ、欧州系であれ、必要な外国語は英語になりますので、やはり一定レベル以上の英語力は必要となります。

しかし、求められるレベルは、職位と職種によって変わってきます。部長や役員クラスになれば、海外本社とのコミュニケーション機会が多いためビジネスレベルの英語が必要になるほか、一般社員だとしても、日常的に海外オフィスとのやり取りが発生する職種(例えば、オペレーション部の一部など)では、高いレベルの英語力が求められます。

また、組織の規模が小さく少人数で運営されている会社などでは、社員一人一人が担う業務範囲も広くなる結果、分業体制が徹底している組織よりも英語を使う機会は増えてきます。

以下では、部長・役員クラス、営業職、運用職、ミドルバックオフィス部門それぞれで求められる英語力についてお話しします。ただし、上記の通り、実際にはバリエーションがありますので、あくまで平均的な状況としてご理解ください。



職種等会話読み書き
部長・役員クラス●●●●●●●●●

(●あまり必要ではない、●●●とても必要)

部長以上のクラスになると、英語は”できて当たり前”の世界です。読み書きはもちろん、ビジネスレベルの会話力が必須です。

彼らの重要な役割には、海外本社の上司や関係者との関係構築があります。また、日本法人の代表ともなればグローバル会議への参加したり、そこで日本法人の経営状況や課題を正確に説明する役割を担っています。こうした仕事は日常的にあるので、英語でのコミュニケーション力は欠かせません。



職種等会話読み書き
営業職●●●●●●●

(●あまり必要ではない、●●●とても必要)

営業職のメイン業務はあくまで日本の顧客との関係構築ですから、ネイティブ並みの英語力が求められているわけではありません。事実、外資系運用会社で約20年近く営業をしてきた私の英語力は、恥ずかしながら拙いレベルでした。
とはいえ、運用レポートを含め、海外からの情報は基本すべて英語ですので、英語を読むことは必要ですし、またメールで英語を書く機会も少なくありません。
また、海外の運用者が定期的に来日するのも外資系運用会社の特徴のひとつです。来日時における顧客・販売会社とのミーティングの場で、営業者が通訳を任されることもあります。

さらには、見込みの顧客や既存顧客が、デューデリジェンス※のために海外へ出張する際、営業担当者が同行するケースも多く、その場合も通訳等の役割を担うこともあります。

※デューデリジェンス(Due Diligence):ファンドへの投資する際に、現地の運用会社を訪問し、直接ファンドマネージャーやアナリストなどの主要メンバーおよび運用体制を調査・確認するプロセス。投資前に実施する場合もあれば、投資後、定期的(年に1回など)に行う場合もある

また、中規模以上の会社であれば、営業部門内に「プロダクト・スペシャリスト(又はプロダクト・マネージャー)」と呼ばれる職種を置いていることが一般的です。彼らの仕事は、担当する運用商品に関する日本側の窓口となり、営業に代わって顧客に詳細な説明を担っています。海外の運用本部のメンバーとのやり取りが日常的に発生するため、会話・読み・書きいずれも高い営業能力が求められます。

逆に、プロダクト・スペシャリストを配置しない場合、彼らの業務を営業担当者が担う必要があり、その場合には、営業とはいえ、ハイレベルの英語力が必要とされます。



職種等会話読み書き
運用職●●●●●●

(●あまり必要ではない、●●●とても必要)

外資系運用会社といっても、日本法人の運用チームが担当するのは主に国内株式や国内債券の運用です。運用業務の多くは日本国内で完結するため、実際には英語を使う機会はそれほど多くありません。
ただし、国内資産の運用でも、グローバル組織の一部門である場合には、運用部門のトップへの報告や定例のグローバル会議への参加の際に英語が必要になります。また、海外の投資家向けに国内資産の運用を提供している場合も同様です。

実際、私の在籍していたいずれの外資系運用会社でも、ファンドマネージャーやアナリストは英語を流暢に話していました。



職種等会話読み書き
ミドル・バック部門●●●●●●●●

(●あまり必要ではない、●●●とても必要)

レポーティング、クライアントサービス、商品開発。オペレーション、そして法務コンプライアンスなどのミドル/バックオフィスの部門では、海外本社との関係性の深さによって英語の必要度が変わります。

特に、国内の業務であっても、海外本社等の統括下(レポートライン)にある場合や、投資一任契約を通じて外貨建て資産や外国籍ファンドへ投資する場合※などは、グローバル担当者とやり取りする子機会も多く、一定レベルの英語力が求められる場面が少なくありません。

※投資一任契約を通じて投資する: 金銭信託という管理用の「箱(口座)」を使って、投資家と運用会社が運用に関する個別契約を結ぶのが投資一任契約。
その契約に基づき、当該信託口座から海外の資産に直接投資する場合(直投)と自社グループの運用会社が設定した海外のファンドへ投資する場合がある。いずれの場合でも、海外関係者との連携は必須となる。



外資系運用会社で働く以上は一定レベルの英語力は必要になってくるのが現実です。とはいえ、役員を含め全員がネイティブのようにペラペラ話しているかというと、決してそんなことはありません。

そもそも、”英語”と言っても、アメリカ英語とイギリス英語の違いはもちろんのこと、欧州系、アジア系、オーストラリア系などのクセの強い英語もあります。日本人の英語も、その多様な英語の一つだと考えればよいのではないでしょうか。

ただし、求められる英語力の水準は、企業の文化や職種・職位によって大きく異なります。


本記事の要約

  • 外資系運用会社で働く上で一定レベル英語力は必要だが、職位(部長以上とその他)や職種(営業職、運用職、ミドル/バック部門など)でレベル感はまちまち

  • ただし、状況は会社によって異なるため、入社・転職を検討しているのであれば、その会社における英語の必須レベルはしっかりと確認すべき

個人的には、AIがここまで進化している現在、英語力そのものの重要性よりも、職種の専門性がより重視される時代に変わりつつあると感じています。

数年前、海外で運用を担当するファンドマネージャーが来日した際、とても興味深い変化を目の当たりにしました。それまで必ず通訳を介して当該ファンドマネージャーと会話していたお客様が、ある時から通訳を必要としなくなったのです。

その方はスマートフォンの自動翻訳アプリを活用し、相手の話す内容をリアルタイムで日本語に翻訳して表示させていました。若干のタイムラグはあるものの、十分な意思疎通がされていました。

必要な部分はAIに任せつつ、限られた貴重な時間を専門スキルを磨くことに使う方ことで、より高い価値を生み出すという時代が到来したのかもしれません。


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