【営業の思考】「我田引水」を捨てると、営業の訴求力は上がる

営業の思考(コラム)

営業の説明は、油断するとすぐに「我田引水(がでんいんすい)」になりがちです。これは、私が30年超の法人営業の現場で常に自戒してきた言葉でもあります。


多くの営業パーソンは、顧客の課題やニーズを深く掘り下げる前に、自社の商品やサービスを売り込みたいがために、都合よく話を展開する自己中心的なスタイルに陥りがちです。

本記事では、30年以上の法人営業の経験をもとに、この「我田引水」の罠を回避し、顧客の心を動かす本物の「訴求力」を身につけるための具体的なポイントを整理してお届けします。

売り込み型の営業から脱却し、顧客に選ばれ続ける「顧客起点」の提案アプローチを実践するための、一つの視点や一助として少しでも参考になれば幸いです。


営業における我田引水とは、顧客のニーズを無視して、自社商品の特徴をただ繰り返し伝える姿勢のことです。自社だけの特長といえないものを、あたかも独自の強みであるかのように、都合よく解釈して説明することも珍しくはないでしょう。


a. 営業担当者の誤解と本来の業務

意図的であれ無意識であれ、営業の説明はしばしば利己的になりがちです。その結果、顧客の視点から離れた”自社都合の説明”が生まれ、訴求力を失ってしまいます。

営業が我田引水に陥る背景には、「営業は自社の強みを主張すべきだ」という固定観念に営業担当者自身が縛られているという問題があります。

しかし、営業の本質は、顧客の課題やニーズと、自社が提供できる価値との間に存在するギャップを埋めることにあります。我田引水的な営業では、このギャップを埋めるという本質が実現できていないことが問題なのです。自社が誇るポイントが、顧客にとっても必ずしも優先順位が高いとは限りません。

[] 営業担当者の本来の仕事

b. 顧客ニーズに応じて訴求ポイントを変える

視点を変えれば、まったく異なる景色が見えることは珍しくありません。固定化された自社の強みを押し付ける姿勢は、顧客には響かない可能性があるのです。むしろ、「自分に都合の良いことばかり話している」という拒絶反応を顧客に与えかねず、信頼を損なうリスクも孕んでいます。


商品は幾つかの要素で構成されています。例えば、商品のスペック、価格、機能、過去の実績、評判、アフターサービスなど、複数のカテゴリーに分られます。営業担当者は、それぞれのカテゴリーにおける訴求ポイントを事前に整理しておくことが必要です。



本記事では、営業活動において陥りやすい「我田引水」の罠と、それを回避して訴求力を高めるアプローチについて解説してきました。

自社の強みや商品の特長を一方的に押し付けるだけの説明は、知らず知らずのうちに顧客の視点から離れ、信頼を損なうリスクを孕んでしまいます。営業の本質とは、顧客の課題やニーズと、自社が提供できる価値との間に存在する「ギャップを埋めること」にほかなりません。

そのギャップを柔軟に埋めるためには、以下の取り組みが不可欠です。

  • 商品スペックや価格、実績等、複数の訴求ポイントを事前に整理しておくこと
  • 目の前の顧客の状況や優先順位に合わせて、臨機応変に伝える価値を切り替えること
  • 自分一人で考えず、組織全体で議論しながら独りよがりの視点を排除すること

固定化された一つのアピールに頼るのをやめ、顧客起点のしなやかな提案スタイルへとシフトしていく――。本記事の内容が、売り込み型の営業から脱却し、顧客との強固な信頼関係を築くための、一つの視点や一助として少しでも参考になれば幸いです。