【営業の思考】営業の資質と役割の「4層構造」

営業の思考(コラム)



私の答えを先に述べますと、「営業に向き・不向きはない」、です。

ただし、営業パーソン(担当者+マネージャー)は、キャリアの段階によって求められる役割が大きく変わります。

営業パーソンに求められるキャリア毎の資質・役割は、次の4つの層で構成されています。

  1. 組織人としての資質
  2. 営業スキル
  3. マネジメント的な視点とスキル
  4. リーダーシップスキル

この4層構造を理解することで、自分がどの段階にいるのか、そして次にどの能力を伸ばすべきなのかが明確になります。

下層ほど基礎・土台としての意味合いが強くなります。 どれか一つでも欠けている状況では、上層の役割を十分に満たすことはできません。

例えば、下から2番目の「❷営業スキル」を持っていたとしても、最下層の「❶組織人としての資質」が欠けていれば、その営業パーソンは評価に値しません。土台が不安定なままでは、どれほど営業スキルが高くても成果は安定しないからです。

また、どこまでの役割が求められるかは、営業パーソンのレベルによって大きく異なります。 若手(アソシエイト)であれば、「❶組織人」と「❷営業スキル」を満たしていれば十分ですが、シニア担当者になると、自分自身だけでなくチーム全体を俯瞰する「❸マネジメント的な視点」が必要になります。さらに、営業マネージャーのポジションでは、最上層の「❹リーダーシップスキル」が求められます。

のように、4層構造はキャリアの段階に応じて求められる役割が変化する“成長のロードマップ”として機能します


❶ 組織人としての資質

4つの層の中に、役割だけでなく「資質」を含めているのは、この“組織人としての要素”が営業において極めて重要だからです。

一見すると当たり前のように思えますが、実は営業では軽視されがちな資質でもあります。営業という職種は数字で成果が見える分、「結果さえ出せばよい」「自分のやり方でやる」という“孤高スタイル”が許容されやすい傾向があります。しかし、この発想こそが組織営業を弱体化させる最大の要因です。

求められるのは、単なる従順さではありません。 ルールを守りながらも、言うべきことはきちんと言う。健全なコンフリクトを避けず、組織全体の成果に責任を持つ。この姿勢こそが、営業パーソンにとって不可欠な「組織人としての資質」です。

❷ 営業のためのスキル

営業パーソンに求められる営業スキルは、大きく3つに集約できます。

  • 商品・市場・業界全般に関する知識
  • 顧客との関係構築スキル
  • ビジネスをドライブするスキル

この3つがそろって初めて営業としての土台が成立します。特に「ビジネスをドライブするスキル」は極めて重要です。これが欠けていると、営業成果は偶然に左右され、安定しない営業になってしまいます。

❸ マネジメント的な視点とスキル

シニア営業パーソンは、単なる営業の職人にとどまらず、組織横断的な視点や全社的な視点で営業プロセスを捉える力が不可欠です。

組織で営業を遂行する以上、プロセスには必ず分業が生まれます。そして分業が生まれれば、どうしても“誰の担当でもない領域”が発生します。ここを拾えるかどうかが、シニアの真価です。

自分の担当範囲を超えて組織全体を俯瞰し、分業の隙間を埋める。この姿勢を持つ営業パーソンは、組織にとって代替不可能な存在になります。

❸ マネジメント的な視点とスキル

営業マネージャーの役割は、次の3つに集約されます。

  • 営業戦略の立案、実行、管理
  • 組織内マネジメント(ピープルマネジメントを含む
  • 外部関係部者との関係構築・利害調整

この3つを完璧にこなせるマネージャーに、私はまだ出会ったことがありません。しかし、どれも欠かすことのできない中核スキルであることは間違いありません。

営業マネージャーに必要なのは、自分はどの役割が強く、どこが弱いのかを理解したうえで、3つすべてを担う立場にあるという自覚を持ち続けることです。強みだけで進むのではなく、弱点を放置しない。この姿勢こそが、リーダーシップの本質ではないでしょうか。


自分はいま、どの層を満たしていて、どの層が弱いのか。
どの役割を期待されていて、どこに伸びしろがあるのか。

この問いに向き合うことが、営業としての成長を最も加速させます。本ブログが、あなた自身の営業キャリアを見つめ直すきっかけになれば幸いです。