営業マネージャーに求められる役割は何でしょうか?前稿の『営業の資質と役割の「4層構造」』では、営業担当者と営業マネージャーに求められる資質と役割について整理しました。ここでは、階層の最上位に位置する営業マネージャーに必要なリーダーシップスキルについて、教科書的な一般論ではなく、私自身の経験からお伝えします。
関連記事
営業担当者と営業マネージャーに求められる資質と役割は何か?4層構造での必要なスキルについて『営業の資質と役割の「4層構造」』にまとめています。
最近は、自分自身も営業担当(プレイヤー)として営業現場を担いながら、チームの管理や育成を行う「プレーイングマネージャー」も増えていますが、ここでは「マネジメント専任」の役割に焦点を当てます。
営業マネージャーに求められるリーダーシップスキルは、❶営業戦略の立案・実行・管理、❷組織内マネジメント(ピープルマネジメントを含む)、❸外部関係者との関係構築・利害調整、の3つを挙げました。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
❶ 営業戦略の立案・実行・管理
会社の中期・短期経営計画を踏まえ、営業部門としての戦略を描きます。別の記事( 関連記事 「営業戦略」は構造で決まる』)でも述べた通り、営業戦略とは「組織の目標と具体的なアクションプラン(施策)をつなぐもの」です。そのために必要なのは、目標達成を阻む要因を洗い出し、その解決策の優先順位をもとにロードマップを作成するという作業、そして、それを着実に実行に移し(implement)し、状況変化に応じて臨機応変に戦略を見直すという一連のプロセスです。
このように、営業マネージャーには実効性のある営業戦略を作り、実行・管理することが求められます。
❷ 組織内マネジメント(ピープルマネジメントを含む)
営業戦略が着実に遂行されるかどうかは、チーム内の運営にかかっています。営業への理解が浅い若手にはハンズオンでのサポートをする一方、中堅担当者にはハンズオフでの対応を基本としつつ、営業フレームワークに則った活動がされているかを管理する必要があります。
また、チームメンバーは感情を持った存在です。業務上の理由にせよ何にせよ、感情面での一定のサポートやケアを含めたピープルマネジメントが欠かせません。
❸ 外部関係者との関係構築・利害調整
営業部門内のマネジメントだけでなく、営業部門の外にある他部署や外部関係者の存在も、営業戦略の遂行・達成には大きな影響を及ぼします。営業戦略は、会社の経営方針に基づいているとはいえ、他部署からは「自分本位」な内容と捉えられる可能性もあります。
「自分の部署は人手が足りない」、「現在の業務が優先なので、計画のスピードを落としてほしい」など、様々な異議が出るものです。外資系企業では、さらに本社との調整が加わり、難易度や複雑さはさらに上がります。こうした利害調整を通じて、戦略の実行環境を整えることが求められます。

私の経験では、この3つのスキルを完璧にこなす営業マネージャーはかなり稀です。大切なのは、① 自分自身が営業マネージャーとしてどのような役割を担っているかを部下を含む内外関係者に明確に示すこと、そして② 自分はどの部分が弱いのかを認識し、弱い部分の機能を信頼できる他者に任せるなどの補完対応を取り入れること、だと思います。
優秀なマネージャーにはこうした右腕になる人物が必ず存在し、自分は得意領域をさらに磨きつつ、弱い部分は保管してもらうことで、組織全体の運営をスムーズに進めているのです。


