2026年ワールドカップを終えて、監督・選手が口にしたこと
残念ながら、今回もサッカー日本代表はベスト8の壁を破れませんでした。北中米3か国共同開催となった本大会から参加国が48か国に増えたため、決勝トーナメントに進出できたものの1回戦で敗退し、ベスト16にも及びませんでした。
日本代表の森保一監督は、日本チームの組織力は「世界に誇れる」と高く評価し、メディアやファン、さらには選手自身も「世界一の団結力」と口を揃えた今回のチームは史上最強という前評判でした。しかし、結果はグループリーグを2位で突破しましたが、決勝トーナメントの第1回戦で強豪国の一つであるブラジル相手に苦杯をなめることになりました。試合後、監督や選手自身の口から「個の力の底上げが不可欠」という課題が改めて語られました。
「組織的サッカー」は日本代表だけの専売特許ではありません。他のチームも、その内容は異なりますが、いまや組織的なサッカーを追求しています。各国がそれぞれの形で組織戦術を追求し、メッシやエムバペのようなスーパースターでさえ、組織の戦術理解なくしてピッチに立つことはできません。
また、どの国の選手も身に着けている「GPSベスト」(ユニフォームの下に身に着けている女性のブラジャーのようなもの)に象徴されるように、選手個人の運用量やスプリント回数・頻度、ポジショニングなどをデータ化することで、組織的なポジショニングや戦術に基づく連動したプレスが、ピッチ上で正しく機能しているかを検証する仕組みも当たり前になっています。現代サッカーにおいて、監督が描く戦術や布陣を具現化するための組織力は、もはや必須条件といえるでしょう。
一方で「個」に目を向けると、日本代表選手の多くが海外チームでプレイしており、個のレベルが上がっているのは間違いないでしょう。今回のチームが”史上最強”と評された背景にも、この個の成長があります。とはいえ、同じことは他国チームにも言えます。メッシ、エムバぺ、ハーランド、ケインといった世界的スターを擁する強豪国は、必ずといっていいほど突出した選手を抱えています。日本にはそうした「絶対的な存在」はいませんでしたので、その分を「世界に誇る組織力」で補ってきたのが日本代表チームの特徴でした。
しかし、組織力を重視するあまり、所属クラブでは攻撃的な役割を担う選手が、日本代表では守備に奔走せざるを得ない場面も少なくありませんでした。よく言えば「忠誠心」ですが、対戦相手によっては「滅私奉公」的なニュアンスが強まるという批判も根強くあります。つまり、問われているのは個の「レベル」だけでなく、個の「活かし方」も課題だという指摘です。
組織営業への示唆
前置きが長くなりましたが、この課題は、組織営業にそのまま当てはまります。
営業チームに組織力は不可欠です。単に個が集まっただけの集合体では、組織とは呼べません。必ず組織に共通したルールや規律があって初めて組織として機能します。しかし、組織力だけでは、営業チームは成長しません。成長を左右するのは、組織を構成する「個」がどれだけレベルアップできるかにかかっているのです。組織内のルールを守っているだけのメンバーだけでは、営業成績の向上は望むべくもありません。組織という制約の下で、個々の営業担当者が、営業成果の最大化のための考え抜くという思考の徹底が必要です。別記事でも述べましたが、営業の構造化アプローチが機能しない典型例のひとつが、仕組みが自己目的化し、メンバーが「思考停止」に陥るケースです。組織力も個の力も、どちらもレベルアップしなければ、営業組織は強くなりません( 関連記事 ▶『営業の構造化が失敗する3つの理由』)。
さらに、営業組織を成長させるうえでは、「人材の使い方」という視点も欠かせません。近年では、職務・業務を起点にし、そこに最適な人材を配置する 適所適材 の考え方が注目されています。営業という職務は役割ごとに求められるスキルセットが大きく異なるため、組織力を高めるだけでなく、個々の営業担当者が最も力を発揮できる配置を見極めることが、組織全体の成果を押し上げる重要な要素となるのです。
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職務・業務に最適な人材を配置するという「適所適材」の考え方については、『営業組織を強くするのは「適材適所」ではなく「適所適材」だ』にて解説しています。
サッカー日本代表が掲げるべき方向性と同じく、営業組織も「組織のための個」から「個のための組織」へ 。
この転換とレベルアップこそが、次の成長ステージに鍵になるのではないでしょうか。


