【営業の思考】昇進の鍵は「川上思考」だ

営業の思考(コラム)

本記事の目的は、営業人材の評価項目を細かく議論することではなく、昇進を支える“前提となる基準”を明確にすることにあります。結論を先に述べると、昇進の鍵は 川上の思考──すなわち全体戦略の視点に踏み込めるかどうか にあります。


業務における上司と部下の関係は、しばしば「川上/川下」という構造で捉えることができます。川上とは、全体像を描き、方向性を定める戦略領域のことであり、川下とは、その戦略を具体的な行動へと落とし込む戦術領域を指します。

上司は、組織の目的を踏まえながら、戦略やフレームワークを設計する役割を担います。単に経営視点を持つだけではなく、物事の本質・背景・構造・潜在的な課題を多角的に捉える力が求められます。一方、部下はその戦略を理解し、日々の業務の中で機能させるために、戦術レベルでの実行力が必要になります。



また、部下といっても若手からシニアまで幅広く、求められる視点は経験によって変わります。若手には川上の意図を理解するための指導が必要であり、シニアには川下の実行力と改善力がより強く求められます。こうした構造を理解することで、上司は「介入すべき場面」と「任せるべき場面」を適切に使い分けられるようになります。

上司と部下の関係を川上/川下の構造で捉えることは、戦略的思考を身につけるうえで非常に有用です。


営業経験が長く、現場に根差した有益なアドバイスを提供できることは、もちろん重要な役割です。しかし、マネージャーに求められるのは、現場レベルの知見だけではありません。組織全体を俯瞰し、状況や環境に応じて適切な戦略的判断を下せるかどうかが、昇進を左右する大きな要素になります。

昇進を望む担当者は、まず「戦略=与えられるもの」と捉えるのではなく、その戦略が何を意図し、どのような成果を狙っているのかを正確に理解することが重要です。そのうえで、戦略の効果を最大化するために、どのような戦術を組み立てるべきかを自ら考え抜く──これが戦略思考の最初のステップであり、川上思考の土台となります。


 現場経験から言えること

このブログでは一貫して「考える営業」の重要性をお伝えしていますが、昇進においても同じ構造が当てはまります。昇進は、単なる成果の評価ではなく、組織横断的な視点で全体を俯瞰し、状況を体系的に捉え、周囲へ的確な指示を出せる思考力を備えているかどうかが基準になります。

つまり、川下の業務をこなすだけではなく、川上の戦略を理解し、その意図を踏まえて自ら戦術を組み立てられるか──この“思考の質”こそが、次のステージへ進むための鍵です。

日々の営業活動の中で、戦略の背景を読み解き、目的に沿った行動を自ら設計する習慣を身につけていくことが、昇進に向けた最も確かなステップになるはずです。