営業という仕事に「向き・不向き」はあるのでしょうか?この問いに答えるために、ここでは、営業パーソンの資質と役割を整理してみたいと思います。あえて「営業担当者」ではなく「営業パーソン」とした理由は、本稿の対象が担当者だけにとどまらず、シニア層やマネージャーまで含めたいからです。営業という職種は、キャリアの段階によって求められる役割が大きく変わります。その全体像を捉えたうえで、営業という仕事の本質に迫っていきます!
結論から先に申し上げますと、営業パーソンに求めあれる資質・役割は、下図のように4層で構成されると考えます。

下層ほど土台の意味合いが強くなります。下層が欠けている状況では上層が満たされることはありません。例えば、下から2番目の「❷営業スキル」を持っていても、最下層の「❶組織人」としての資質が欠けていれば、その営業パーソンは評価に値しないということになります。
また、どこまでの役割が求められるかは、営業パーソンのレベルによっても異なります。若手(アソシエイト)であれば、「①組織人」と「②営業スキル」があればよいですが、シニアでは「❸マネジメント的な視点」が必要になり、営業マネージャーなら最上層の「❹リーダーシップスキル」が求められます
それぞれの資質・役割について簡単にご説明します。
❶ 組織人としての資質
◎ 一見すると当たり前のようで、実は営業において軽視されがちな資質です。営業という職種は数字で見える分、「結果さえ出せばよい」、「自分のやり方でやる」という”孤高スタイル”が許容されやすいのです。しかし、この発想こそが組織営業を弱体化させる最大の要因です。
◎ 求められるのは、単なる従順さではありません。ルールを守りながらも、言うべきことは言う、健全なコンフリクトを避けず、組織全体の成果に責任を持つ、この姿勢が必要不可欠です。
❷ 営業のためのスキル
◎ 営業パーソンに求められる営業スキルは、大きく3つに集約できます。
a)商品・市場・業界全般に関する知識
b)顧客との関係構築スキル
c)ビジネスをドライブするスキル
◎ 詳細は別稿で深堀りしますが、この3つがそろって初めて営業としての土台が成立します。特にc)ビジネスをドライブするスキルは極めて重要で、これが欠けると、成果は偶然に左右される不安定な営業になります。
❸ マネジメント的な視点とスキル
◎ シニア営業パーソンは、単なる営業の職人であることにとどまらず、組織横断的な視点、全社的な視点で営業プロセスを捉える力が不可欠です。
◎ 組織で営業を遂行する以上、プロセスには必ず分業が生まれます。そして、分業が生まれれば、どうしても誰の分担でもない領域が発生します。ここを拾えるかがどうかが、シニアの真価です。自分の担当範囲を超えて、組織全体を俯瞰し、分業の隙間を埋める、この姿勢がある営業パーソンは、組織にとって代替不可能な存在になります。
❹ リーダーシップスキル
◎ 営業マネージャーの役割は、次の3つに集約されます。
a)営業戦略の立案、実行、管理
b)組織内マネジメント(ピープルマネジメントを含む)
c)外部関係部者との関係構築・利害調整
◎ この3つを完璧にこなせるマネージャーに、私は出会ったことはありません。しかし、どれも欠かすことのできない中核スキルであることは間違いありません。営業マネージャーに必要なのは、自分はどの役割が強く、どこが弱いのかを理解し、3つすべてを担う立場にあるという自覚を落ち続けることです。強みだけで進むのではなく、弱点を放置しない、この姿勢がリーダーシップの本質ではないでしょうか。こちらも機会があれば、別稿にて詳細をお話ししたいと思います。
営業という仕事は、属人的なスキルやセンスで語られがちですが、実際には“求められる資質と役割”が明確に存在します。 そして、それらはキャリアの段階によって変化し、積み重なる構造になっています。
自分はいま、どの層を満たしていて、どの層が弱いのか。 どの役割を期待されていて、どこに伸びしろがあるのか。この問いに向き合うことが、営業としての成長を最も加速させます。
本ブログが、あなた自身の営業キャリアを見つめ直すきっかけになれば幸いです。


