質の低い情報はいらない!|営業の本質=「高品質」な情報の入手について

思考を深める補助線

以前、職場における相互理解を深める取組みの一環で、各部署が持ち回りで社内勉強会を開催したことがありました。私は営業部の代表として講師を務め、冒頭で参加者に一つの質問を投げかけました。

「営業の最も重要な仕事は何だと思いますか?」

参加者からは「契約を取ること」「顧客と信頼関係を構築すること」「契約後の社内コントロール」といった答えが返ってきました。どれも正解だとは思うのですが、私の答えは少し違っていました。

営業の最も重要な仕事、それは、

質の高い情報を集めること

参加していた同僚のみならず、営業部のメンバーさえも、そのほとんどがポカーンとした表情だったのを覚えています。

ソリューション型営業が主流となった現代において、良質な情報がなければ顧客の課題把握も提案の設計も成り立ちません。高品質な情報を集めることこそが、営業の原理原則であり、成果を左右する最大の出発点です。


この記事でわかること

  • 顧客に有効なソリューションを提供するためには顧客に関する質の高い情報が重要であり、それこそが営業の本質であることが理解できます。

  • 高品質な情報をスムーズに収集するための具体的なステップを解説します。

  • 約40年の営業現場での実体験に基づき、「情報の質」をどのように高めるか、その具体的な考え方と方法を解説します。


次の事例は、営業初心者に”ありがち”なケースをフィクションとして作ってみました。フィクションではありますが、私の経験では、営業初心者に限らず、中堅の営業担当者でさえも大変よく見られたケースです。


この営業担当者にしてみれば、初回ミーティングの場でさっそく商品に関する詳細なニーズ情報を得ることができたのです。きっと「よしっ!うまく情報を取れたぞ!」と思ったに違いありません。「あとは、このニーズにぴったりの商品を提示すればよいだけだ!」と。

しかし、結果は「不採用」…

このケースは、顧客の口から発せられるニーズ情報が、必ずしも重要な情報ではないことを示しています。顧客の組織構造、担当者の立場、意思決定の流れ、過去の取り組みなど、より深い情報を得て初めて、的確な提案やコミュニケーションが可能になります。



顧客の要求が明確になった時点で、検討領域はすでに狭まり、競争は激化します。提案内容も似通いやすく、差別化が難しくなるため、勝敗は「製品の圧倒的な優位性」などの、営業担当者が関与できない領域に依存してしまいます。いわば、結果がどちらに転ぶかは予測しづらい領域に入ってしまいます。

「理想論はそうだけど…」という声が聞こえてきそうですので、高品質な情報の具体的な集め方を次章で解説しましょう。



取得した情報の「事実/事象」ももちろん重要ですが、それだけでは十分な意味を持ちません。 その情報の背後にある理由や要因、意思決定の根拠、経緯──こうした「背後にあるもの」を探ることで、情報は初めて価値を持ちます。そのためには、よく言われるように「なぜ」を繰り返すことが重要です。


現場経験から|情報収集の限界
「法人営業の真髄は、顧客を深く理解するために質の高い情報を集めることにある」という話をすると、必ず次のような反論が出てきます。

” 理想はその通りかもしれないが、現実には大企業の顧客ほどビジネスは多岐にわたっており、たかだかイチ営業者が取れる情報にはどうしても限界がある “

確かに、顧客の規模が大きくなるほど、営業担当者が入手できる情報に限界があるのは事実です。しかし、だからこそ「仮説」が必要なのです。もしすべての情報が手に入るのであれば、そもそも仮説を立てる必要はありません。情報に限界があるからこそ、仮説が大きな武器になるのです。

情報収集、分析、仮説構築、そしてさらなる情報収集。このサイクルを繰り返すことで、ゼロだった情報は1になり、3になり、5になり、情報の質は間違いなく高まっていきます。出発点となる情報の質が低ければ、的を射た提案はできません。ビジネスを適切にドライブさせるためにも、この情報と仮説のサイクルこそが重要であると、すべての営業パーソンに知っていただきたいと考えています。



別記事でも解説を予定していますが、情報はそれだけでは意味を持ちません。そこに問いや疑問が付随して初めて意味を持ちます。

そして、情報は必ず構造を有していますので、それを解きほぐしていくことが、その情報をもとにした仮説構築の鍵です。

目的をもって必要な情報を収集し、そこから仮説を構築し、その仮説を検証するために再度、情報収集を行う。この一連の作業によって入手する情報こそが「高品質な情報」なのです。


本記事の要約

  • 顧客が既に言語化している顕在化した情報は質の低い情報であり、どれだけ沢山あつめても有益な情報はならない。

  • 情報の背景を掴み、分析し、仮説を立て、また情報を取りに行く。この「情報収集→仮説構築→更なる情報収集」というサイクルを何度も何度も繰り返したことで蓄積した情報こそが「高品質な情報」である。

  • 高品質な情報”こそが、効果的な提案の”源泉”になり、営業の質を決定づける


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