営業の説明は、「我田引水」になりやすい。私が常々、戒めている言葉です。
我田引水とは、「他人のことを考えず、自分に都合の良いように言ったり、行動したりすること」です。英語では、”every miller draws water to his own mill”と言います。営業的な表現で言い換えると、自社商品の強味ばかりを語り、顧客のニーズを置き去りにするーーー営業で最も起きやすい失敗です。

つまり、顧客のニーズが何であれ、自社商品の特徴をオウム返しのように、繰り返し伝えるだけなのです。まさに我田引水です。
営業の本質は、顧客の課題やニーズと自社が提供する商品価値との間に存在するギャップを埋めることなのですが、それができていないことが問題なのです。
論者は、この状態を、「訴求力の欠如」と表現しています。
我田引水を避けるためには、事前に顧客のニーズを把握しておくのは当然として、実際の商談等の現場では、想定外のニーズが突然出てくることも珍しくありません。
だからこそ、自社商品について、複数の訴求ポイント(アピールポイント)を事前に準備しておくことが不可欠です。そして、その場で出た顧客のニーズに合わせて、訴求ポイントを変更したり、優先順位を組み替えたりして、臨機応変に対応することができるようにしておくべきです。

商品は幾つかの要素で構成されていますので、商品のスペック、価格、実績、アフターサービス等、複数のカテゴリーに分け、それぞれの訴求ポイントを整理しておくこと。
また、訴求ポイントを考自分一人で考えないこと。独りよがりの視点は、我田引水の温床になるリスクも孕みます。他の顧客を持つ他のチームメンバーの意見と議論しながら、多面的な訴求ポイントを洗い出すことで、説明の幅は一気に広がるでしょう。
独りよがりの説明ではなく、顧客にニーズに柔軟に対応するべく自社商品の訴求ポイントを幾つも準備すること、それが「訴求力」につながります。


