営業マネージャーに昇進したものの、「メンバーへの指示が空回りしてしまう」「優秀なプレイヤーだったのに、マネジメントの手法がわからない」と悩んでいませんか?
単に営業経験が豊富なだけ、あるいは精神的なリーダーシップがあるだけでは、組織の成果を最大化することはできません。営業マネージャーには、組織を戦略的に運営するための具体的な「マネジメント力」が不可欠です。
1. 本記事の目的と効果
本記事では、日系・外資系のグローバル企業で30年以上の法人営業経験を積み、自らもマネージャーとして組織を率いてきた実績をもとに、営業マネージャーが現場で果たすべき「3つの役割」を現実に即して解説します。
単なる精神論や抽象的なリーダーシップ論ではなく、構造化アプローチをもとに成果を出し続ける「強い営業組織」を作るための具体的な実践ステップをお伝えします。
マネージャー自身の「資質」と、組織で果たすべき「役割」の全体像については、以下の別記事でも詳しく体系化しています。本稿と合わせて読み進めることで、マネジメントの構造がいっそう深く理解できるようになります。
営業パーソンに求められる資質と役割については、こちらの記事で詳しく解説しています。👇🏼
関連記事 ▶『営業の資質と役割の「4層構造」』
2. 営業マネージャーに求められる3つの役割
最近は、自分自身も営業担当(プレイヤー)として現場を担いながら、チームの管理や育成を行う「プレイングマネージャー」が増えています。しかし、ここでは組織のパフォーマンスを最大化させるための「マネジメント専任(管理職)」としての役割に焦点を当てます。
営業マネージャーに求められる役割は、以下の3つです。
❶ 営業戦略の立案・実行・管理
- 営業戦略の立案と、達成を阻む要因の特定
- 阻害要因に対する解決策の優先順位付け
- 実効性のある運営と継続的な進捗管理
❷ 組織内マネジメント(ピープルマネジメント含む)
- 営業フレームワーク(共通の仕組み)の遵守管理
- メンバー特性に応じたサポート対応
- 感情面を含めたチームケア
❸ 外部関係者との関係構築・利害調整
- 社内外の関係部署との連携強化
- 外部関係者との利害調整
- 円滑な関係構築による、戦略を実行しやすい環境の整備
以下では、それぞれの役割についてさらに詳しく見ていきます。
役割 ❶:営業戦略の立案・実行・管理
営業マネージャーには、実効性のある営業戦略を作り、それを実行に移し、実際の営業活動が戦略に連動しているかを管理・修正することが求められます。具体的には、以下の一連のプロセスを、途切れることなく(シームレスに)循環させ続ける作業です。
役割 ❷:組織内マネジメント(ピープルマネジメントを含む)
営業戦略が着実に遂行されるかどうかは、チーム内の運営(オペレーション)にかかっています。
例えば、営業への理解が浅い若手社員に対しては、実務に直接介入して手厚く指導する「ハンズオン」でのサポートが必要です。その一方で、中堅担当者には裁量を与えて自主性を重んじる「ハンズオフ」での対応を基本とします。このように個々のスキルに応じたアプローチを使い分けつつ、組織全体として営業フレームワーク(共通の仕組み)に則った活動ができているかを管理することが求められます。
また、チームメンバーは感情を持った存在です。業務上の理由がどうあれ、モチベーションの維持やメンタル面のケアを含めた、人を中心に見つめる「ピープルマネジメント」が欠かせません。
役割 ❸ 外部関係者との関係構築・利害調整
営業部門内のマネジメントだけでなく、営業部門の外にある他部署や外部関係者の存在も、営業戦略の遂行・達成には大きな影響を及ぼします。
営業戦略は、会社の全体最適な経営方針に基づいているとはいえ、他部署の視点からは「営業の自分本位な内容」と捉えられてしまう可能性もあります。
実際に現場では、「自分の部署は人手が足りない」「現在の業務が優先なので、計画のスピードを落としてほしい」など、様々な異議や要望が出るケースが少なくありません。特に外資系企業では、これらに加えて海外本社との利害調整も加わり、難易度や複雑さはさらに上がります。営業マネージャーには、こうした社内外の利害調整(ネゴシエーション)を通じて、戦略をスムーズに実行できる環境を整えることが求められます。
3. 私の現場経験から(コラム)
現場経験から言えること
本記事では営業マネージャーに求められる3つの重要な役割を解説してきましたが、私の30年の現場経験において、これらすべてを完璧にこなせるマネージャーは極めて稀です。人間である以上、マネージャーにも必ず得意・不得意(得手不得手)が存在するのは自然なことです。
だからこそ、営業マネージャーが組織のパフォーマンスを最大化させるためには、次の2つのアプローチを常に意識する必要があります。
❶ 自分の役割の明確化:自分自身が営業マネージャーとしてどのような役割を担っているかを部下を含む内外関係者に明確に示すこと。
❷ 弱みの認識と他者への委譲:自分の不得意な領域を客観的に認識し、その領域に強みを持つ信頼できるメンバーに任せるなど、組織全体で補完し合う体制を取り入れること
優れた成果を出すマネージャーの傍らには、必ずその弱みを埋める「右腕」となる存在がいます。自身の得意領域をさらに磨き上げる一方で、不得意な領域は周囲の力を借りて補完する。これこそが、組織全体の運営をスムーズに前進させ、強いチームを作るための現実的かつ強力なマネジメント手法です。
4. まとめ
本記事では、営業マネージャーが現場で果たすべき3つの重要な役割について解説してきました。
- 役割 ❶:営業戦略の立案・実行・管理
- 役割 ❷:組織内マネジメント(ピープルマネジメントを含む)
- 役割 ❸:外部関係者との関係構築・利害調整
繰り返しになりますが、これらすべてを1人のマネージャーが完璧にこなす必要はありません。大切なのは、自身の得意領域を最大限に活かしながら、不得意な領域は「右腕」となるメンバーや周囲のリソースを頼って組織的に補完し合うことです。
「自分がすべてを背負わなければならない」というプレッシャーから脱却し、仕組みとチームの力で成果を最大化する。これこそが、「強い営業組織」を作るための本質的なアプローチです。
まずはご自身の現在の役割や得意・不得意を客観的に見つめ直すことから、第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
👉 「営業の思考(コラム)」
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