関係構築の核心は「情報」にあり

営業の思考(コラム)

顧客との関係構築の目的と効果とは?

まず、一般的に言われる顧客との関係構築の目的を整理してみます。

❶ 安定的な取引による利益の最大化
商品のスペックや価格競争に巻き込まれず、安定的な収益機会を確保できる
❷ 解約の防止
自社商品に関する不満や懸念を早期に把握することで、解約や離脱を未然に防ぐことができる
❸ 顧客ニーズの正確な理解と的確なソリューションの提供
顧客の新たな課題やニーズをいち早く察知し、スムーズな提案につなげられる

以上をまとめると、顧客との深い信頼(ロイヤルティ)を築くことで、長期的なビジネス拡大と、アップセルやクロスセルの機会創出、そして解約防止の効果が期待できるということになります。

では、この3つに共通する基盤は何でしょうか?ーーー

私は、「高品質な情報」、つまり正確かつ詳細な情報が基礎になっていると考えています。顧客が直面する課題や計画に関する質の高い情報を得られるからこそ、顧客に資する価値ある提案が可能になり、長期かつ安定的な関係が築かれていくのではないでしょうか。「高品質な情報」の取得こそ、営業の原理原則だと私は思います。

関係構築の基礎となる情報取集の方法 -誰から収集するべきか?

顧客から情報を得る方法には、「垂直方向」と「水平方向」の2通りありますが、私はこれに加えて「斜め」という第三の方向があると考えています。

(a) 垂直方向
垂直方向による情報収集とは、担当者から担当課長、担当部長、担当役員というように階層を上がりながら情報を得る方法です。そのためには、営業担当である自分自身だけでなく、自社側の課長や部長、役員も巻き込み、相手の階層に応じて関係を構築する必要があります。

(b) 水平方向
一方、水平方法とは、相手企業から情報を得る点は同じですが、当該取引に直接関わらないものの情報を持つ他の関係者や他部署にアクセスする「部署横断的」な方法です。対象は、同じ部署の別担当者や課長、企画部門の部長・役員など多岐にわたります。自分が関与しないビジネスについては、意外と話がでやすいことも少なくありません。オフィシャルな場に限らず、ランチやディナーといった非公式な場を活用することで、より深い情報が得られる場合もあります。

(c) 斜め方向
垂直でも水平でもない「周辺方向」から情報を得る方法。同業他社やライバル企業、業界関係者など、取引当事者の外側にいる人々からの情報収集です。もちろん、守るべき一線を厳守することが大前提ですが、意外な有益情報が入手できることも多いのです。私自身、外部とのネットワークを活用した情報取集の効果を何度も実感してきた一人として、この方法はぜひ取り入れていただきたいと思っています。

これらの方法を組み合わせて情報を取りに行くわけですが、ただ闇雲に集めればいいわけではありません。情報収集も自己目的化してはいけなのです。
別稿の中ででも触れたように、次の3点を強く意識して情報を取りに行くことが重要です。

  • 単なる事実だけでなく、その背景まで踏み込んでヒアリングすること
  • 事前に仮説を立て、その仮説を検証・補完するための情報収集を行うこと
  • 収集した情報の構造と相互の関係性を把握すること

この3つを意識して得た情報こそが高品質な情報となります。この高品質な情報を駆使することで関係構築の質を高め、更なる高品質な情報の収集が可能になるというサイクルが営業成果の再現性を支える土台となります。